映画の日に見に行きましたよ(以下ネタバレあり)。
とりあえずは面白かったです。『ハウルの動く城』より面白い。ひょっとしたら『千と千尋の神隠し』なみに面白いかも知れない。
「売り」になっている海の描写はたしかにすばらしい。しかし、子供向けの図鑑をひっくり返して片っ端から描いてみたぞー、という感じもしないでもない。
極彩色の「生命賛歌」を繰り広げつつ無視は出来ない「老い」と「死」、ということで本作は黒澤作品における『夢』のようなポジションにあるのかも。
サンドウィッチを食べるシーンなぞ、「お約束」にしか思えない。ポニョがハムを大好物になってしまうというのも「おれのアニメの食い物はうまいんだから説明はいらないぞ」ということか。
しかし、ストーリーだけ取り出すと出鱈目もいいところ。
宗介はとても5歳と思えない出来た「いい子」だし、大嵐に逢って水没しながら、世界はミョーに明るく祝祭的である。街の外はどうなってるんだよ、という突っ込みも野暮な世界。『人魚姫』をモチーフにしている割には、ラストに至っても何の葛藤も試練もない。宮崎氏の好きなもの、見たいものだけを盛りだくさんにしたワンダーランド。
所詮本作も「快楽原則」の産物なのかも知れない。その意味では、「思想の自由」をかけて「戦争」をしているはずが主要人物誰も死んでないし殺してもいない『図書館戦争』や、WWIIの空戦エースをモチーフにした妙齢の女子が、ネコミミを生やしてあられもない姿で飛び回る『ストライクウィッチーズ』(余談だが、人間体ポニョがズロースを見せまくるたびに「パンツじゃないから恥ずかしくないもん」という台詞が脳裏をよぎったのだが、EDにはしっかり「ゴンゾ」という文字が…… )などと、同じ水準にあるように思えてしまう。
じゃあ、それらとの本質的な差はなに? わたしは「通俗文化」の受益者であり擁護者でありたいと思っているし、その意味で宮崎(ジブリ)アニメに対する違和感と距離感も感じてきたのだが、こういうのを見せられるとちょっと考えてしまう。
やはり『スカイ・クロラ』も観なきゃいけないか?
余談。主人公の母親が乗っている車が単なる「軽自動車」。今までの宮崎作品ではシトロエン2CVとか、フィアットとか、アウディとかだったのに。ちょっと意外に思えた。
テーマ : 日記 - ジャンル : アニメ・コミック