2008/08/01 (Fri) 23:33
『崖の上のポニョ』

 映画の日に見に行きましたよ(以下ネタバレあり)。

 とりあえずは面白かったです。『ハウルの動く城』より面白い。ひょっとしたら『千と千尋の神隠し』なみに面白いかも知れない。
 「売り」になっている海の描写はたしかにすばらしい。しかし、子供向けの図鑑をひっくり返して片っ端から描いてみたぞー、という感じもしないでもない。
 極彩色の「生命賛歌」を繰り広げつつ無視は出来ない「老い」と「死」、ということで本作は黒澤作品における『夢』のようなポジションにあるのかも。
 サンドウィッチを食べるシーンなぞ、「お約束」にしか思えない。ポニョがハムを大好物になってしまうというのも「おれのアニメの食い物はうまいんだから説明はいらないぞ」ということか。
 
 しかし、ストーリーだけ取り出すと出鱈目もいいところ。
 宗介はとても5歳と思えない出来た「いい子」だし、大嵐に逢って水没しながら、世界はミョーに明るく祝祭的である。街の外はどうなってるんだよ、という突っ込みも野暮な世界。『人魚姫』をモチーフにしている割には、ラストに至っても何の葛藤も試練もない。宮崎氏の好きなもの、見たいものだけを盛りだくさんにしたワンダーランド。
 所詮本作も「快楽原則」の産物なのかも知れない。その意味では、「思想の自由」をかけて「戦争」をしているはずが主要人物誰も死んでないし殺してもいない『図書館戦争』や、WWIIの空戦エースをモチーフにした妙齢の女子が、ネコミミを生やしてあられもない姿で飛び回る『ストライクウィッチーズ』(余談だが、人間体ポニョがズロースを見せまくるたびに「パンツじゃないから恥ずかしくないもん」という台詞が脳裏をよぎったのだが、EDにはしっかり「ゴンゾ」という文字が…… )などと、同じ水準にあるように思えてしまう。
 じゃあ、それらとの本質的な差はなに? わたしは「通俗文化」の受益者であり擁護者でありたいと思っているし、その意味で宮崎(ジブリ)アニメに対する違和感と距離感も感じてきたのだが、こういうのを見せられるとちょっと考えてしまう。
 やはり『スカイ・クロラ』も観なきゃいけないか?

 余談。主人公の母親が乗っている車が単なる「軽自動車」。今までの宮崎作品ではシトロエン2CVとか、フィアットとか、アウディとかだったのに。ちょっと意外に思えた。

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2008/07/24 (Thu) 19:56
アニメの悪影響

 父親を殺した女子中学生が『ひぐらしのなく頃に』を愛読していたとかで、警察が「犯行に影響を与えたのでは」と関連を調べているようだ。『ひぐらし』は昨年も似たような事件が発生したとき、一部の回が放送中止になったりした。
 この種の事件が起こるたび、アニメやマンガ、ゲームとの関連が取りざたされるのは毎度おなじみの光景であるが、手口をそのまま模倣したというならともかく、特定の事件との因果関係などは証明できるはずもない。

 しかし、社会に甚大な害を与えた事象に、明らかな影響を与えたアニメというのは、じつは、あるのだ。アニメファンとしては大変残念なことだが、事実である。

 その作品とは『あらいぐまラスカル』である。
 1977年から1年間「世界名作劇場」枠で放映された、あの名作アニメだ。スターリング少年とアライグマ、ラスカルとの心温まる交流と、作中で描かれたラスカルの愛らしい仕草は視聴者を魅了した。
 放映開始後はアライグマの輸入が急増した。アニメのイメージに影響されて、ペットとしての人気が高くなったのだ。

 しかし現実のアライグマは、頭がよく人になつきにくい動物である。檻が破られて逃げてしまったり、アニメのラストを真似て、手に負えなくなったアライグマを逃がした例なども多いらしい。
 野に放たれたアライグマは、天敵のいない日本各地で繁殖し、害獣となった。畑を荒らす、民家に侵入して排泄物で汚す、寄生虫や伝染病を媒介する、さらには在来種を圧迫するなどの被害を与える。その額は全国でなんと1億6千万円にも達するという。
(参考記事:アライグマ被害1億6千万円 16都道府県で農作物荒らす)
 被害の大きい北海道や神奈川県などでは駆除に乗り出しているが、「かわいいラスカルを殺すなんて許せない」とかいって、反対する動きもある。むろんこれはアニメが植え付けたイメージでしかない。
 さらに最近では「ご当地ラスカル」というのもあるようだ、たとえば「HOKKAIDO RASCAL」。サイトを読むと勘違いしているのか意図的なブラックジョークなのか、判断に苦しむ。 「琵琶湖ブラックバスくん」とかも出せばいいのに。

 まさに史上空前の悪影響である。『ひぐらしのなく頃に』よりも先に、環境省と農林水産省は『あらいぐまラスカル』を有害指定すべきではなかろうか。
(ちなみに現在アライグマは特定外来生物に指定され、無許可での販売、飼育は禁止されている)

(参考URL:[今日の本]はるかなるわがラスカル[今日のアニメ]あらいぐまラスカル これがすべての元凶[今日の事件]「あらいぐまラスカル」が引き起こした日本のアライグマ問題[今日の事件]「あらいぐまラスカル」と動物商法


あらいぐまラスカル(1)あらいぐまラスカル(1)
(1999/03/25)
野沢雅子内海俊彦

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ぜったいに飼ってはいけないアライグマぜったいに飼ってはいけないアライグマ
(1999/10)
さとう まきこ杉田 比呂美

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2008/07/20 (Sun) 23:45
『となりのトトロ』と宮崎駿

となりのトトロとなりのトトロ
(2001/09/28)
日高のり子坂本千夏

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 金曜ロードショーで『となりのトトロ』を観る。じつは、まともに観るのは初めてのTV放送以来2回目だったりする。80年代後半の本作が制作された前後から、90年代の半ばぐらいまで、宮崎駿的なものは「敵」だと思っていたから。
 この前後から宮崎(ジブリ)アニメは、アパルトヘイトの「名誉白人」ならぬ「名誉映画」のような扱いをされていた。アニメ一般は映画や実写ドラマよりも下に見られて、変な事件が起こるたびにバッシングされていたのに、そこだけ「聖域」。おまけに「セーラー服の女の子が機関銃撃って走り回るようなアニメ作ってちゃダメなんです」と仰有っているその有様は、まさに白人に媚を売る黒人、アンクルトム的な振る舞いじゃないか。
だからトトロだって、PTAとか朝日新聞とかに媚びるような代物作りやがって、けっ! てめえだけいい子ちゃんになりやがって、きしょーめ! みたいな感じで反撥が先に立っていた。
 それからもう20年経つのか。いろいろな意味で宮崎とかジブリとかを客観視できるようになって、もう観てもいいんじゃないかな、と思えたのだ。

 で、見た感想は……サツキやメイよりお父さんがうらやましいと思えてしまう(笑)。
 ただ、舞台の「昭和30年代」が魅力的なんじゃなくてこの作品を作った宮崎駿の手腕が優秀なんでしょ。これは押さえておきたい。 大体昭和30年代なんて、今とは比べものにならないくらい治安も悪いし貧富の差も激しい。酒を飲んでいい気分になるのはかまわんけど、それでクルマを運転しちゃダメでしょ、っつーことです。

 翌日フジテレビ土曜プレミアムで『時をかける少女』が二度目の放送。しかし観ていて「トトロの方が上だな」と思ってしまった。
 いや、たしかに本作も傑作なんだけどね、アニメとしてみれば「甘い」部分も少なからずあります。その点トトロはまったく隙がないというか、単なる日常生活のみを描いても観客を惹きつける。だから細田守から『ハウル』を取ってしまったのだろうか。
時をかける少女 限定版時をかける少女 限定版
(2007/04/20)
仲里依紗石田卓也

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 それにしてもなあ、番組冒頭の『崖の上のポニョ』特集に出てきて「すごいですねー」とかのほほんとコメントしてる、吾郎ちゃんはどうにかしろよ。『ポニョ』で一茂を起用したのは、そのあてつけか?

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2008/07/18 (Fri) 02:33
松本隆とマクロスの80年代

星間飛行星間飛行
(2008/06/25)
ランカ・リー=中島愛

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 季節の松本 第11回「アニメソング(前編)」

 松本隆が自分のサイトで「星間飛行」と『マクロス』について語っている。コレがすごい面白い。マクロスシリーズについてずいぶんと詳しいのには驚かされるが、24年組の少女マンガのファンだと語っていたことがあるし、『エヴァンゲリオン』も観ていたらしい。
 当時の松本氏と『マクロス』のコラボレーションが実現していたら、どうなったんだろう? まあ、「愛・おぼえていますか」は十分すぎるほど名曲なので、これはこれでいいのだが。
(余談だが、ともに氏が作詞した安田成美「風の谷のナウシカ」の2番と松田聖子「瑠璃色の地球」の2番は似ている)
愛・おぼえていますか愛・おぼえていますか
(1993/09/22)
飯島真理

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 前回のエントリと絡めるが、こういったものこそ、アニメ雑誌が載せるべき記事じゃないか。松本氏と河森監督の対談とかセッティングしてもいいかも。

 昨今の80年代ブーム(?)は「10年ぐらい前の過去は否定の対象だけど、20年ぐらい過ぎると懐かしくなってくる」ということではないでしょうか。以前から思っているのだが、「近未来もの」と同じ法則が成り立つのかも。近未来を舞台にしたSFでは、現代社会のネガティブな部分が悪化したものとして描かれるケースが多い。同じように10年〜20年ぐらい前の「近過去」は現在のネガティブな部分が生じたものとして振り返られるのかも知れない。

 追記:ニコニコ動画にこんなMADビデオが投稿されていた。
 【松田聖子】 星間飛行 【松本隆】


 わたしとしては、中島愛と松田聖子の声は、それほど似てないと思うんだけど。

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2008/07/16 (Wed) 08:57
アニメ雑誌の30年

7/12に開催されたSFファン交流会7月例会「TVマンガがTVアニメになったとき 〜アニメ専門雑誌の30年」に行ってきました。会場は渋谷区の千駄ヶ谷区民会館。副都心線で明治神宮前まで。副都心線に乗るのは開業直後以来久々だったりする。
畳部屋の会場には各アニメ誌の創刊号がずらり。名前しか聞いたことのないものから、90年代のエヴァバブルで創刊されたものまで。
今回は徳木吉春さん(編集者)、藤田尚さん(マンガ関係者)、原口正宏さん(アニメーション研究家)の三氏をお呼びして、78年の「アニメージュ」創刊前後から85年の「ニュータイプ」創刊までの話を伺う……とはいえ、昔の話の方がおもしろいのは否めない。 興味深い話がいろいろ伺えたのだが、結局、自分では今のアニメ雑誌にはさほど期待していないことを再確認してしまった。
お話によれば、昔は誌面に載る絵をセルやフィルムから写していたのが、製作のデジタル化で宣材として指定されているものを使うようになって、雑誌ごとの特色が出しづらくなってしまったそうだ。わたしとしては、「アニメ雑誌に載るアニメ」が固定化されてしまったこともあげられると思う。その点『マイメロディ』を創刊から3号連続して載せた「オトナアニメ」は画期的だと思った。今なら『ミンキーモモ』とかも取り上げられず終いかも知れんなあ。
今度「アニメージュ」からも上の年齢層をねらった新雑誌「アニメージュオリジナル」が発売されるそうなので、それは期待していいのか。

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